Architect Labo

設計の徒然日記

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立上りコンクリート打設

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基礎立上りコンクリート打設で、ベースと同じく27-18-25Nです。

今回、ポンプ車のオペが横着をしました。知らなかったとは言え、コンクリートを扱うものなら常識として、次回同じことをしたら生コン1車持ち帰りを言い渡して作業開始です。

 

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打設に先立ち、型枠寸法の再確認とアンカーボルト・ホールダウンアンカーの長さと埋設長さ、設置位置とコンクリートからの出の寸法を確認します。

通常2階建てならホールダウンアンカーは6~8本程度ですが、今回は3階建てということで36本もあり、やはり開口部付近は応力が集中するためか密に配置されています。

 

アンカーボルト類の田植え設置・・・コンクリートを打設してから埋め込むのは禁止とし、予め設置位置に高さの調整と共に固定しておきます。こうすることで忘れがなくなり、特にホールダウンは筋違の足元との干渉を避けるために芯ズレ納めをさせるので、精度の向上が期待できます。

 

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当然立上りコンクリートでも受け入れ検査をしていますが、ほとんどの検査室は型枠にコンクリートを入れたばかりのテストピースをその場で持ち帰ってしまいます。

あるプラントの試験室は、現場で型枠にコンクリートを入れたテストピースを24時間程度経過してから改めて回収にきます。面倒ですが・・・JISではそうなっているそうです。確かに、コンクリートが柔らかい状態で現場からプラントまで車から振動を受ければ、重い骨材は沈み、水分は上昇して分離するかも? そう考えると24時間たってから回収する検査室は正解ですね。

 

Written by architecter

7月 29th, 2014 at 9:46 pm

圧接面で破断

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木造住宅の基礎に用いる鉄筋は、規格の呼び名で主にD10やD13、太くてもD16程度で済むため、重ね継ぎ手と呼ばれる方法を用いますが、鉄骨や鉄筋コンクリート造では、D22、D25、D32、時にはD51など、基礎梁や柱・梁で径の大きな鉄筋を用います。D16までは鉄筋径の○○倍以上といった重ね継ぎ手で鉄筋を延伸していきますが、径の大きな鉄筋ではガスバーナーで接続面を加熱し、半溶融状態にして鉄筋同士を治具で押し付け一本に繋ぐ「ガス圧接」という方法がよく用いられます。

 

一般に鉄筋は最長でも10m、現場搬入や人が持ち運べる重量など考慮すると太さにもよりますが、6m程度の長さが重宝します。しかし、建物はもっと大きな寸法なので定尺の寸法を繋ぐ訳ですが、D16までは重ね継ぎ手、D19からガス圧接若しくは機械式継ぎ手などを用います。

 

ガス圧接を行った場合、その繋ぎ部分の接続強度を確認するために「引張り強度試験」または、「超音波探傷試験」を行います。基本的に超音波探傷試験は非破壊検査のため全数検査としますが、引張り強度試験は破壊検査のため全てを検査することが出来ないので、一日あたりの圧接箇所数と施工者組数からロットを決め、1ロットあたり3本のテストピースを任意の位置から抜き取り、試験機で鉄筋が破断するまで緊張力をかけ、破断した時の力の大きさと破断位置から良否を判定します。

通常、破断した時の力は鋼材の規格数値を上回っていること。また、破断した位置は圧接面ではなく母材の位置であることが合格の基準となります。母材破断の必要性は、圧接面の強度が母材よりも上回っていることを確認するためです。

 

 

そして今回破断したのは、あってはならない圧接面だったことで問題になりました。

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破断してはいけない部分で破断したことにより、全ての作業は一旦停止。原因の究明と対策を検討しなくてはいけません。国交省監修の建築監理指針などを調べてみても、圧接面で破断した場合の処置方法は記されているものの、具体的な原因究明方法やその後の対策については明記されていません。

 

ですからインターネットなども使って対処方法などを検索してみますが、やはり圧接面での破断は相当珍しい事象であるためか、検索ではヒットしませんでした。キーワードを変えて検索してみても、不具合が生じた時の処置方法が記されているのみで、監理指針に記載されている内容と同じものばかりです。

周囲に聞いてみても、圧接面で破断したことは経験が無いという回答ばかりで、実際にどのように進めてよいのか迷ってしまいます。

 

 

施工業者さんでは原因究明の一環として、鉄筋端部処理が圧接面に与える影響を調査するため、わざと端部処理不良材でガス圧接のテストピースを作成し、引張り強度試験で確認作業を進めていました。

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通常、ガス圧接を行う時は、圧接面の鉄筋切り口は直角平滑で健全な鉄部が露出した状況にします。そうするために冷間直角切断機で切断したり、グラインダーで削り出したりする訳ですが、端部処理不良の状況を想定したテストピースとするため、鉄筋端部が剪断切断で錆が発生しているままの状態でガス圧接したテストピースと、更に錆の部分にスプレーで着色したテストピースを作成し、引張り強度試験を行いました。

 

スプレー着色したのは、鉄筋はSD295AやSD345など機械的性質の違う鋼材を混用するため、鉄筋の切断面に着色して鋼材の種類が分かるようにしてある状況を模したものです。

 

結果はいずれも鋼材規格の数値を上回って破断しました。しかし、剪断切断は母材で破断したため問題ないと判断されましたが、スプレー着色は数値を上回ったものの圧接面で破断したことにより、端部処理が圧接面に与える影響について参考になるものと思われます。更に母材破断したテストピースには圧接部分にグラインダーで切れ目を入れてわざと圧接面で破断させ、良好な結果の圧接部分の破断面も確認しました。いずれも破断面は除去しなかった錆が溶融していると思われる茶色の部分が見受けられました。

そしてもう一つ、圧接面にブラインダーで切れ目を入れ、曲げ破壊による圧接面破断の断面も確認しました。

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施工により生じた圧接面破断の断面と、わざと圧接面破断させた断面ではやはり状況に違いが見られます。

施工による破断面は筋状の傷が見受けられ、黒く変色している部分と、明るく銀色に光っている部分がありましたが、試験場では明確な原因特定が出来ませんでした。しかし、可能性として加熱バーナーの火口が逸れたか若しくは直接触れてしまったか、他に考えられる見解として端部処理の不良や鋼材の中の介在物に偶然にも当たってしまった可能性もあるとのことでした。

 

現場での対処として、ガス圧接部分を全数超音波探傷試験により不具合の有無を確認し、続く上階のガス圧接に備え技量試験を行うこととし、発注者・監理者・施工者で方向性を模索しています。

 

Written by architecter

9月 22nd, 2011 at 11:07 pm

見えない地盤とその予測

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現在、公共工事で他の設計事務所が設計したRC3階建ての監督業務で、監理している(現場監督ではありません・・・念のため)現場では支持地盤が設計条件と異なっているため、その対応に追われています。

 

設計前の段階で2カ所の標準貫入試験が行われていますが、既存建物が残っている状況で行われた様で、いずれも計画建物が建つ位置から外側にズレた位置で調査されています。平坦地なら大きな問題にはなり難いのでしょうが、当該物件は緩やかな丘陵地にあり、地層が狭い範囲であっても平坦では無い可能性があると言う大きな落とし穴に嵌ってしまったようです。

事前の2カ所の標準貫入試験では、おおよそ似たような調査結果を示しており、その結果から直接基礎で設計されていますが、設計図書にある現況図面や解体指示図面には、既存建物が木造平屋なのに「PC杭」が印されています、それも長さが2mと4mの位置があり、地盤が傾斜していることを伺わせます。更に解体着工前の現況調査では計測するまでもなく内装床の傾きが確認されており、地盤が緩いことはある程度想定されました。

しかし、現場は丘陵地の頂点付近に位置し、周囲を見渡すと緑が生い茂り地山を掘削した地形のようにも見えるため、まさか地盤でここまで大きな問題になるとは・・・と、工事着手前の段階では思いもよりませんでした。

 

そして既存の木造平屋の建物解体工事終盤、基礎下にある杭の引き抜きで付着してくる土が土質サンプルとは明らかに異なっていることから事態は大きな問題に発展しました。

現場から「杭に着いてくる土の色が土質サンプルと違っていて、とても緩い地層があるようです・・・」と連絡をもらい、基礎底まで掘削してもらうと濃灰色のシルト層が見えています。明らかに緩い地層で、設計図書では地耐力を確認するために平板載荷試験を行うこととなっていますが、試験をするまでもないほどの状況に困惑です。

 

念のため、現場監督さんにお願いして周辺を含めた古い地形図を用意してもらいました。地形図は明治頃のものと思われますが、現代の地図のように精度は高くなく、あくまでも目安程度にと考えますが、最新の地図を重ね合わせてみるとどう見ても地山の位置になります。

そんな状況で工事が滞っている最中に、近隣の方から「この辺は戦後は谷だったんだよ・・・」と教えてもらいました。地形図では地山に見えても、例え標準貫入試験の結果が良くても、僅か10mほど移動しただけで全く違う地層が出てしまい、一つの建物が強固な地山から軟弱地盤に横たわる配置になっています。

 

今更ながら、標準貫入試験では直接基礎が可能な地耐力を示していても、解体指示図面の既存建物は木造平屋なのに杭が打ってあるという違和感に対して、もっと早い段階で突っ込んだ調査が出来たのではないだろうかと思えてなりません。他者の設計だからといって全てを鵜呑みにせず、改めて一から検証する必要性を感じました。

仕事では往々にして僅かな違和感を放置したために後で大きな問題に発展することは経験していますが、今回は事後対応するしかありません。

自分で設計する時には特に注意しなくてはいけない目には見えない地盤の出来事でした。

Written by architecter

7月 15th, 2011 at 5:03 pm